革新への原動力、デザインへの率直なアプローチ、そして個性的なビジネススタイルによって、ジェイコブ・アラボは高級時計・宝飾業界において他に類を見ないブランドを築き上げました。 36年の間に、ジェイコブ&コーは最も高い人気を誇るブランドのひとつとしての地位を確立し、世界的なジュエリーデザインと現代時計製造の展望に変化を与えてきました。

キング・オブ・ダイヤモンドになる

ジェイコブ&コーは、高級ブランドであると同時に、家族とともにニューヨークに移住し、アメリカンドリームを体現することになる14歳の少年の感動的な物語でもあります。家計を助けるため、アラボは16歳のときにニューヨークの有名なダイヤモンド地区にあるジュエリー工房で働き、そこで初めてジュエリーの世界に触れました。その工程に魅了された彼は、余った金属を集めて自分の作品を作り始めました。そうしているうちに、ジュエリーの制作とデザインに夢中になっていったのです。その後、アラボは伝統的なジュエリーの技術や貴金属や宝石の細かな知識を深めるために、研修プログラムに参加しました。

「最初に作ったジュエリーは、スクラップとして残っていた金のチューブの束を見たときでした。それをブレスレットにしたら、たくさん売れたのです。私はまだ10代でしたが、家族を本当に支えるためには、職人をやめて自分自身が宝石商にならなければならないとすぐに気づきました」 - ジェイコブ・アラボ


ジュエリーへの新たな情熱に突き動かされ、ダイヤモンド街で働きながらビジネスのノウハウを学んだアラボは、1986年、ニューヨークに小さなジュエリー工房を構え、主に個人顧客のためにデザインを手がけるジェイコブ&コーをスタートさせました。最初の15年間、ジェイコブはジュエリーだけに専念していました。生来の和気あいあいとした人柄と信頼感から、当時の彼の顧客には音楽関係者が多く、その顧客には細心の注意と専門知識を提供するジュエラーとして知られるようになりました。口コミで、彼の、"型にはまらない冒険的なジュエリー"は、その界隈や、人と違うもので目立ちたい人たちの間で広く人気を集めるようになりました。

やがてアラボは、尊敬するヒップホップアーティスト、ビギー・スモールズ(別名ノトーリアス・B.I.G.)と親交を深め、彼のために特注の大作を数多く制作するようになります。また、パフ・ダディ、バスタ・ライムス、ジェイ・Z、ファレル・ウィリアムス、カニエ・ウェスト、アッシャー、ナス、ビヨンセ、ニゴー、ジャ・ルール、ファット・ジョー、50セントなども常連客として名を連ねていました。真にユニークで既成概念にとらわれないジュエリーを作ることで評判を得たアラボの顧客は、やがて音楽の枠を超え、デヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム、エルトン・ジョン、ナオミ・キャンベル、ボノ、カール・ラガーフェルド、クエンティン・タランティーノなど、ハリウッドのエリートや世界的スターのための作品をデザインするようになりました。そのため、アラボは「ジェイコブ・ザ・ジュエラー」と呼ばれ、過去20年間に100曲以上の歌に登場しました。1999年、ニューヨーク・タイムズ紙は彼を「ヒップホップ界のハリー・ウィンストン」とまで呼びました。

「1986年、21歳の時に店を開きました。ショーケースにこれらのデザインを並べましたが、みんなにクレイジーだと思われましたよ。『こんなもので儲けることはできない』とよく言われたものです。『見ている分にはいいけど、本業は婚約指輪と結婚指輪なんだから』と。私の周りにも25人の宝石商がいて、基本的に私を笑っていました。ですが、やがてセレブ達が私の元へやってきて......」- ジェイコブ・アラボ

2001年、アラボはジェイコブ&コーの製品に時計を加え、初の時計「ファイブ・タイムゾーン」を発表しました。高級時計製造は、アラボが常に望んでいたものでした。幼少の頃、旧ソビエト連邦で父親からワールドタイムウォッチをプレゼントされたことがきっかけでその魅力に取りつかれ、10代の頃に時計工房で見習いとして働いたことでその情熱はさらに育まれました。

「ファイブ・タイムゾーン」ウォッチのデビュー以来、ジェイコブは、美的にも技術的にも注目に値するだけでなく、お客様を念頭に置いてデザインされた個性的なタイムピースを作り続けています。時計職人としてでも、宝石職人としてでもなく、純粋な時計への愛を原動力とし、宝石とジュエリー・デザインに関する知識を深めていくことになります。

「幸運なことに、私は時計職人ではなく、時計愛好家として時計作りに取り組んでいます。机上のデザインが実現可能かを心配すること無く、純粋にお客様と私が所有することに興奮するようなものを想像しながら時計をデザインするのです。私のデザインはまた、個々人の夢の作品についてお客様と交わした多くの会話によって導かれ、お客様の夢を実現する為だけにインスピレーションを働かせます。」 - ジェイコブ・アラボ


完璧へのこだわり


ジェイコブ&コーの卓越したジュエリーと時計はともかく、アラボが他と一線を画すのは、顧客に提供する特別な配慮です。アラボは、同じ時代のどのブランドよりもいち早く、高度にパーソナライズされ、カスタマイズされたサービスを提供することで知られ、愛されるようになりました。一般的に、シグネチャースタイルやモチーフは、今後何世紀にもわたり、あるいは何十年にもわたり、時計や宝飾品ブランドのクリエイティブな方向性を定義していくものですが、アラボにとって、ジェイコブ&コーの作品には、唯一の決定的な美学というものは存在しません。彼の工房から生み出される時計やジュエリーのひとつひとつは、顧客・買い手を念頭に置いて作られ、その人の個人的なスタイルに合わせて特別に製作されるものです。

「ある日は、クラシカルでヴィンテージ感のある王室御用達のジュエリーをデザインし、次の日は、洗練されていながらも汎用性の高いジュエリーを必要とする企業関係者のためにデザインし、またある日は、レッドカーペットで目立ちたいハリウッドセレブのためにデザインすることもあります。私はひとつのスタイルに左右されないどころか、常にクライアントに必要な物を教えてもらっています。」- ジェイコブ・アラボ

先のビジョン

ジェイコブは、30年以上前にニューヨークのダイヤモンド地区に最初の工房を開いて以来、長い道のりを歩んできました。今日、ジェイコブ&コーは、ニューヨーク、マイアミ、ジュネーブ、ドバイ、クアラルンプールを含む複数の都市に専門ブティックを構えています。現在では、ブヘラ、ウォッチズ・オブ・スイス、サックス・フィフス・アベニューなど、100を超える小売店を含む広範な販売網を有しています。

このような成功を収めてもなお、ジェイコブ&コーは、1986年にジェイコブ氏が起業したときの信念と価値観にしっかりと導かれた、家族経営のオーナー企業であることに変わりはありません。創業40年を迎えようとしている今、ジェイコブ&コーは、そのアバンギャルドなデザインと、驚異的な時計製造の成果を通じて、モダンな時計製造の新たなる未来を開拓しています。