ストーリー    

ブガッティコレクションの「ブガッティ シロン」や「ツインターボ フューリアス ブガッティ」などの最高級の時計をリリースした後、ジェイコブ＆コーはハイパーカー ブランドの別の面を探求することに決めました。ローズゴールドの限定モデル「ジャン ブガッティ」は、並外れた革新者と彼のアバンギャルドで芸術的な自動車の解釈を称えるものです。

ジャン・ブガッティは、創業者エットーレ・ブガッティの長男です。エットーレがフランス北東部のアルザス地方モルスハイムに新会社を設立したのと同じ年の1909年に生まれました。幼い頃、ジャンは父や製図技師たちが設計や開発をするのを見るのが大好きでした。父や製図係の設計や開発を見るのが好きだったジャンは、よく生産現場をこっそり走り回り、図面に命が吹き込まれるのを見ていました。幼く、好奇心旺盛で、実験的な彼は、戦後のフランスの「アネ・フォール（狂乱の時代）」に大きな影響を受けました。1875年からパリのアカデミー・デ・ボザールの会員であった祖父カルロのもとを、時間の許す限り何度も訪れていました。カルロ・ブガッティは、家具や装飾品に素材や文化、様式を取り入れることを好み、ジャンも同じように自動車の設計に取り入れるようになったのです。

その結果、デュオトーンのタイプ50シリーズ、史上最長のホイールベースを持つタイプ41ロワイヤル、世界で最も高価なコレクターズカーであるタイプ57SCアトランティックなどの名車が誕生しました。アトランティックは、極めて長いボンネットと、地面近くまで伸びた楕円形のリアエンドを持ち、そこから6本の細いテールパイプが突き出ています。この車の最大の特徴は、ボンネットのヒンジからテールまで垂直に走る、隆起した縫い目です。当時の自動車界では考えられないプロポーションです。

パートナーシップ

 

2019年、ブガッティとジェイコブ＆コーはパートナーシップを締結し、これまでにないユニークなタイムピースを制作していきます。

このパートナーシップは両社の理念に忠実であると同時に、時計製造をこれまでの想像を超える高みへと引き上げるものです。

このパートナーシップの始まりとして、「ツインターボ フューリアス」と「エピック X クロノ」をベースにした2つのタイムピースが作られました。ブガッティ・ハイパーカーのユニークなデザインと精神に直接インスパイアされたものです。

2020年、Jacob & Co.とブガッティは、「ツインターボ フューリアス コレクション」の新モデルと、全く新しいラインである「ブガッティ シロン」を発表しました。そして2022年、「ジャン ブガッティ」を発表し、歴史的でクラシック、そしてなおかつ高性能な一面を兼ね備えています。

デザイン概要

 

ジャン ブガッティは、レトロな雰囲気が漂うエレガントで洗練されたタイムピースです。ジェイコブ＆コーとブガッティのパートナーシップから生まれた2022年の最新作です。

ジェイコブ＆コーの他のタイムピース・コレクションと比較しても、このジャン ブガッティは際立っています。クラシカルな雰囲気が漂い、人によっては野暮ったくさえ感じられるかもしれません。これはブガッティとジェイコブ＆コーの深い関係から生まれたもので、自動車デザインを時計学的に表現したものです。そして、文字盤下部の開口部は、モルツハイムの1930年代のクーペのグリルとヘッドライトをイメージしています。

個性的なレイアウト

 

ジャン・ブガッティ氏の自動車デザインのセンスは既成概念にとらわれていません。その名を冠したこのタイムピースの外観も同様です。一見クラシカルに見えますが、それだけではありません。スモークサファイアのディスクの下、5時と7時位置に大きな開口部があり、針は不思議な方向を向き、6時位置には縦長の大きな開口部がある、この「ジャン ブガッティ」は不可解で理解することが難しいかもしれません。

文字盤の外側の縁にある内向きの針は、2本の短い赤い針で時間と分を表示します。文字盤の中央にある2本の短い青針は、クロノグラフ針です。1本目の長い針は、クロノグラフの秒単位、もう一方の針は、クロノグラフの秒計測を表します。文字盤の5時と7時位置には、フライングトゥールビヨンが2つ搭載されています。

ダブルレトログラード＆デジタルクロノグラフ

 

ジャン・ブガッティは、そのレイアウト、機能、性能において、間違いなくユニークなクロノグラフを搭載しています。クロノグラフの秒はダブルレトログラード。クロノグラフの分積算計はデジタルで、ジャンプするようになっています。この2つの機構には、専用のバレル（香箱）を備えた5Hzの高周波調速機が使用されています。その動作は、水平クラッチを備えたコラムホイールによって調整されています。

時計の中央に配置された針がその役割を担っています。スタート/ストップボタンを押すと、1本目の針が0から10まで動き始めます。10に到達すると、針は0に逆戻りし、新たなスタートを切ります。そして、もう一方の針は00から01へと進みます。この一連の動作は、クロノグラフが作動している限り繰り返されます。59秒後、短針は60に到達し、00に逆戻りします。この時、6時位置の楕円形のメダリオンには、金色の数字が描かれたディスクが00から01に瞬時にジャンプしています。

さらに、クロノグラフを停止してリセットした場合、秒針は瞬時に逆方向にジャンプするわけではありません。ゆっくりと最終位置まで進み、そこで初めて最後のレトログラード跳躍が可能となるのです。これは、「ジャン ブガッティ」の数ある特徴のひとつです。

ツイン フライングトゥールビヨン

 

スモークサファイヤクリスタルの下には、ブガッティらしさをさらに高めるデザイン特徴が組み込まれています。ジャン ブガッティの文字盤にある2つの開口部には、トゥールビヨンが2つ搭載されています。ジェイコブ＆コーのトゥールビヨンケージは、デザインメッセージを伝えるために様々な変更が可能です。今回は、ブガッティのEBロゴをモチーフにしたものです。この部品は丁寧に研磨されたスチールで製造されています。

この2つの回転機構は、下部の部品のみで支えられている、フライングトゥールビヨンとなっています。回転周期は1分で、テンプの振動数は3Hzです。

ムーブメント

 

キャリバーJCFM09は、ジャン ブガッティのために特別に開発されたものです。合計470個の部品で構成されています。この異例の数の部品は、このムーブメントの高度な複雑機構と二重構造に直接起因するものです。同じ地板上に、相互に接続された2つのシステムが共存しています。一つは、専用のバレル（香箱）、歯車列、ツイントゥールビヨンを備えた計時部で、これらすべてが周辺時間の表示を駆動させます。

もうひとつは、クロノグラフ機構です。専用のバレルと調速機で構成され、毎時36,000振動、つまり5Hzで回転します。プッシュボタンを押すと、テンプは直ちに最適な振幅と振動数に達し、最高の精度でクロノグラフの針を動かします。

キャリバーJCFM09のグラフィックは印象的です。透かし彫りが施された部品は、高度な研磨と面取りが施されています。これらは、円形のグレイン仕上げとブラックアウトされた地板を背景に、際立っています。ゼンマイ、レバー、クラッチ、鏡面仕上げの印象的なブリッジが密集し、緻密な技術環境を作り出しています。この点でも、他の多くのモデルと同様、ジャン ブガッティは見る者を魅了するタイムピースと言えるでしょう。

オルネート文字盤

 

ジャン ブガッティには、ジェイコブ＆コーの時計製造の中でも前例のないダイヤルが搭載されています。サンレイ仕上げの鮮やかなブルーをベースに、ホワイトゴールドプレートのアップリケが2つ取り付けられています。このアップリケが225°の範囲を定義し、それに沿ってクロノグラフ針が動きます。さらに、アレンジされたアラビア数字が目盛りの役割を担っています。一番外側の数字は0から10まで、もう一方の数字は00から60までとなっています。

5時と7時の間には、ホワイトゴールドメッキのアップリケが施され、文字盤の表面と3つの開口部の境界を示します。このアップリケは、トゥールビヨンとクロノグラフが配置されるエリアを定義しています。

クロノグラフ針のすぐ下にはホワイトゴールドメッキとラッカー仕上げのアップリケがあり、ジャン・ブガッティが持つブガッティ・エッセンスを思い起こさせるものとなっています。

ケース＆クリスタル

 

ケースは18Kホワイトゴールド製です。この貴金属は全体にポリッシュ仕上げが施され、丸みを帯びたベゼル、丸みを帯びた短いラグ、精巧なラグで最適な装着感を実現し、ラウンドケースの形をしています。

ケースサイズは直径46mm、厚さ16mmです。サファイアクリスタルはドームのような形をしており、そのカーブはベゼルとケースの延長線上にあります。ケースバックには透明なサファイアクリスタルが装着され、キャリバーJCFM09を遮るものなく眺めることができます。